2018年 01月 18日
そんな日が来ることを夢見ての修理依頼でした
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最初の約束では、10日間でした。
10日間で本当にできるのだろうか?
12月前に本当にできるのだろうか?
...と危惧しながら、修理依頼したのは、昨年の11月中旬でした。
しかも、その修理代金も、最初に連絡があったのは、50€。
意外と安いと思いました。
その修理依頼した物は、時計でした。
この時計は、セクションは違いましたが、ある日の食事会で仕事の話をしてから気が合い、普段からセンスがいいと密かに憧れていた会社の先輩だったNさんの大学時代からの友人のY美さんからプレゼントされた時計でした。
Y美さんを紹介される際「絶対、貴女と気が合うわよ」とNさんから太鼓判を押されたように、5才年上の方でしたが、最初に会ったその日から、本当に色々な話ができる友人になりました。
そして、パリに移り住んだある時、Y美さんから、仕事を依頼されました。
その頃は、まだメールなどなかった時代だったので、ファックスでの依頼でしたが、普段来るような親しみを込めた文章とは違って、敬語が使われたビジネス文でした。
仕事の内容は、彼女のコンセプトにあった商品探しや買い付けに伴う業務全般でしたが、今後の仕事に流れや予算なども書かれ、かなりきちんとした事業計画書も一緒に添えられていました。
普段親しくしても、仕事となると、言葉遣いからキチッと一線を引く...
Y美さんから学んだ事でした。
商品に対する考え方や感性も似ていた事だけでなく、この依頼文を読んで、きっと
この人とだったら、気持ちよく仕事ができるだろうと感じた通り、その後Y美さんが渡仏して展示会場を回った時も、スムーズに仕事ができました。
勿論、渡仏されていた間、仕事をしない日もあり、一緒にショッピングを楽しんだり色々なフレンチレストランで食事をしたり、美術館に行ったりしましたが、そういう時は、普段通りの友人同士の楽しい会話が続きます。
それが展示会場に入った途端、仕事モードに変わり、商品に対しての質問も「これ、どう思う?好き?」ではなく「この商品、どう思いますか?」と変わります。
質問された私の方も、単に好きか嫌いかの感覚だけで答えるのではなく、最近の商品傾向を踏まえ、来年度にも続く商品なのかどうかの分析や、ザっと計算した上代価格が、彼女の考えている売り場やターゲットに適したものなのかどうかを考えた結果の意見を言い、お互いの意見交換の後、一致をみた色々な商品を発注しました。
そして、この仕事がかなり成果を上げたという事で、その半年後に再度渡仏した際に仕事の報酬以外にプレゼントされたのが、この時計でした。
それは、今から、30年近く前の出来事でした。
それから、いつも手元にあり、仕事をする私のお守りになりました。
でも、シルバーでできたパーツをつなぐのは、編み込んだ鎖になっているこの時計は過去に2度ほど切れました。
その都度修理していましたが、ここ10年ほどは全く問題なかったのに、昨年の11月のある日、突然切れました。
でも、一時は破竹の勢いで直営店舗を拡大し、デパート内にも売り場を持っていた
メーカーでしたが、今やデパートの売り場も一つになり、パリのあちこちにあった
直営店舗も僅かになりました。
そして、あまりにも月日が経ってしまったからなのか、修理依頼で持って行ったこのメーカーのショールームのムッシュの話では、もはやこの時計は製造されておらず、社内でもパーツが見つからないアンティーク扱いになってしまったらしい。
という事で、最初に依頼した時とは話が違い、ショールーム内での修理は不可能と
いう事で、10日間でできると言われた日数はメールが来るたびに延び、ノエル休暇をはさんで1ヶ月半になりました。
そして、言われた金額もメールが来るたびに上がり、最終的に言われた金額は、当初の金額の5倍の250€。
電話をすると、メーカーのムッシュも恐縮して「あまりにも高額になってしまった
から、もし止めるというなら、それも可能ですけど」と言いましたが、そんな気は
まったくありませんでした。
勿論、かなりの予算オーバーでしたが、ここで修理を諦めたら、その後、ご両親が
亡くなってから色々あったらしく、引っ越しされてからは、まったく連絡が途絶えてしまったY美さんとの思い出も消えてなくなりそうで、何がなんでも直したいと思いました。
いつか連絡が会ったら「あの時いただいた時計、ちゃんと今でも使っていますよ」と伝えたい。
そんな会話ができる日がきますように!
10日間で本当にできるのだろうか?
12月前に本当にできるのだろうか?
...と危惧しながら、修理依頼したのは、昨年の11月中旬でした。
しかも、その修理代金も、最初に連絡があったのは、50€。
意外と安いと思いました。
その修理依頼した物は、時計でした。
この時計は、セクションは違いましたが、ある日の食事会で仕事の話をしてから気が合い、普段からセンスがいいと密かに憧れていた会社の先輩だったNさんの大学時代からの友人のY美さんからプレゼントされた時計でした。
Y美さんを紹介される際「絶対、貴女と気が合うわよ」とNさんから太鼓判を押されたように、5才年上の方でしたが、最初に会ったその日から、本当に色々な話ができる友人になりました。
そして、パリに移り住んだある時、Y美さんから、仕事を依頼されました。
その頃は、まだメールなどなかった時代だったので、ファックスでの依頼でしたが、普段来るような親しみを込めた文章とは違って、敬語が使われたビジネス文でした。
仕事の内容は、彼女のコンセプトにあった商品探しや買い付けに伴う業務全般でしたが、今後の仕事に流れや予算なども書かれ、かなりきちんとした事業計画書も一緒に添えられていました。
普段親しくしても、仕事となると、言葉遣いからキチッと一線を引く...
Y美さんから学んだ事でした。
商品に対する考え方や感性も似ていた事だけでなく、この依頼文を読んで、きっと
この人とだったら、気持ちよく仕事ができるだろうと感じた通り、その後Y美さんが渡仏して展示会場を回った時も、スムーズに仕事ができました。
勿論、渡仏されていた間、仕事をしない日もあり、一緒にショッピングを楽しんだり色々なフレンチレストランで食事をしたり、美術館に行ったりしましたが、そういう時は、普段通りの友人同士の楽しい会話が続きます。
それが展示会場に入った途端、仕事モードに変わり、商品に対しての質問も「これ、どう思う?好き?」ではなく「この商品、どう思いますか?」と変わります。
質問された私の方も、単に好きか嫌いかの感覚だけで答えるのではなく、最近の商品傾向を踏まえ、来年度にも続く商品なのかどうかの分析や、ザっと計算した上代価格が、彼女の考えている売り場やターゲットに適したものなのかどうかを考えた結果の意見を言い、お互いの意見交換の後、一致をみた色々な商品を発注しました。
そして、この仕事がかなり成果を上げたという事で、その半年後に再度渡仏した際に仕事の報酬以外にプレゼントされたのが、この時計でした。
それから、いつも手元にあり、仕事をする私のお守りになりました。
でも、シルバーでできたパーツをつなぐのは、編み込んだ鎖になっているこの時計は過去に2度ほど切れました。
その都度修理していましたが、ここ10年ほどは全く問題なかったのに、昨年の11月のある日、突然切れました。
でも、一時は破竹の勢いで直営店舗を拡大し、デパート内にも売り場を持っていた
メーカーでしたが、今やデパートの売り場も一つになり、パリのあちこちにあった
直営店舗も僅かになりました。
そして、あまりにも月日が経ってしまったからなのか、修理依頼で持って行ったこのメーカーのショールームのムッシュの話では、もはやこの時計は製造されておらず、社内でもパーツが見つからないアンティーク扱いになってしまったらしい。
という事で、最初に依頼した時とは話が違い、ショールーム内での修理は不可能と
いう事で、10日間でできると言われた日数はメールが来るたびに延び、ノエル休暇をはさんで1ヶ月半になりました。
そして、言われた金額もメールが来るたびに上がり、最終的に言われた金額は、当初の金額の5倍の250€。
電話をすると、メーカーのムッシュも恐縮して「あまりにも高額になってしまった
から、もし止めるというなら、それも可能ですけど」と言いましたが、そんな気は
まったくありませんでした。
勿論、かなりの予算オーバーでしたが、ここで修理を諦めたら、その後、ご両親が
亡くなってから色々あったらしく、引っ越しされてからは、まったく連絡が途絶えてしまったY美さんとの思い出も消えてなくなりそうで、何がなんでも直したいと思いました。
いつか連絡が会ったら「あの時いただいた時計、ちゃんと今でも使っていますよ」と伝えたい。
そんな会話ができる日がきますように!
by kanafr
| 2018-01-18 15:28
| 心に残る素敵な人達
|
Trackback
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Comments(2)
Commented
by
すっとこ
at 2018-01-21 20:56
x
うううううううううううううううーーーーーむ!
Kanafrさんのこういう処が 好きなんです!
大切なもの、それにまつわる想い出も
とっても大切になさってますね。
国内でも 外地でも 引っ越などで環境が
変わるのがきっかけなのか
とても親しくしていたのが
いつの間にか 疎遠になってしまうこと
有りますね。
きっとY美さんも「Kanafrさんはどうして
らっしゃるかしら」と思い出されてる事
がある、と確信します❣️
Kanafrさんのこういう処が 好きなんです!
大切なもの、それにまつわる想い出も
とっても大切になさってますね。
国内でも 外地でも 引っ越などで環境が
変わるのがきっかけなのか
とても親しくしていたのが
いつの間にか 疎遠になってしまうこと
有りますね。
きっとY美さんも「Kanafrさんはどうして
らっしゃるかしら」と思い出されてる事
がある、と確信します❣️
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Commented
by
kanafr at 2018-01-22 07:12
すっとこさん 今晩は
まあああああ そんな風に言っていただけて、私も感激です。
物って自分の物になった時から、一緒に時や思い出を紡いでいくものなんだと思います。
特に、それをくださった方が尊敬する方や、憧れたり大好きだった方だった場合は、古くなって壊れようとも捨てられません。そういう方が下さった物って、本当に私が好きな物なのが多く、一生懸命私の事を考えながら選んでくださったって分るからなんですけどね。
そういう時、贈り物はモノをいただくんじゃなくて、心をいただくんだなあと思います。
今、私にとって、猛烈に会いたい方がY美さんです。
まあああああ そんな風に言っていただけて、私も感激です。
物って自分の物になった時から、一緒に時や思い出を紡いでいくものなんだと思います。
特に、それをくださった方が尊敬する方や、憧れたり大好きだった方だった場合は、古くなって壊れようとも捨てられません。そういう方が下さった物って、本当に私が好きな物なのが多く、一生懸命私の事を考えながら選んでくださったって分るからなんですけどね。
そういう時、贈り物はモノをいただくんじゃなくて、心をいただくんだなあと思います。
今、私にとって、猛烈に会いたい方がY美さんです。