2016年 07月 08日
終わってしまえば、あっと言う間の4カ月間でした
|
6月下旬あたりから、かなりハードな状況になったせいなのでしょうか?
昨年の11月になった顔面麻痺の後遺症が出てきて、あの時閉じられなかった左目と右目の視力の差がひどくなり、そのせいで左目はすぐ疲れてしまい、涙が止まらない。
今思えば、この4カ月間のフランス語受講は、かなり無理していたのかも….。
4人で始まった受講クラスですが、みんなより一足先に、先週の月曜日で無事終了しました。
繰り返される初級問題に、このままでは、全ての文法をやり終えることはできないのでは…と危惧していましたが、5月中旬から、中級、上級の文法問題は、全て宿題となり、マダムNに提出して添削してもらうやり方に変わったお蔭で、順調に進み、終了の1週間前には、無事
やり終える事ができて、ホッとしました。
そして、週1回は、復習を兼ねた文法問題以外に読解問題と作文のテストが行われ、通常の日の午前中は、初級問題のテキストでの自習を繰り返し、午後はみんなで答え合わせをするというのが、終了まで続きました。
そんな繰り返される初級問題も、5月初めで7回目位でしたから、6月になった時点で、軽く
12.3回は超えていたんじゃないかしら?
それなのに、何十回も出てきているフランス語の文法では、基本中の基本のたった2つの
動詞の現在活用さえ、満足に覚えていないって言うのは、一体、どういう事なんでしょう?
これは、「分からなかったら、質問して下さい」だけで、授業を一切せず、渡された文法問題のテキストを、自習で習得しなきゃいけないマダムNのやり方のせいでしょうか?
ある日、お昼の休憩時間に、中国人のマダムJから、宿題として渡されている中級、上級の文法問題が「読んでも、何が何だか全く分からないから説明してほしい」と言われ、そこからマダムNの授業のやり方についての話になりました。
分からないなら、なぜフランス語教師のマダムNに聞かないのか不思議でした。
彼女曰く、縫い子さんとして9月から再び仕事ができるようになるらしく、彼女が長年やって
きたその仕事には「ここでやっているような中級、上級文法は必要ないし、書けなくても読めなくても、コミュニケーションは取れるから、別に文法の活用が完璧じゃなくても問題ないわ。だから、マダムに質問するほど、知りたい訳じゃないの」でした。
そして、その会話に加わった2人のムッシュも「挨拶程度のフランス語でも、十分生活できるんだから、難しい文法の勉強なんて、別に必要ないよ」「家に帰って迄、フランス語なんかやりたくないよ」とおっしゃる。
だから、覚えないのね...と、ようやくその謎が解けました。
でも、彼らのやる気のなさに、さぞガッカリしているかと思ったら、そのマダムNから、ある日
授業後に質問する為に残った私に、こんな言葉が…
「今日も、初級問題で、いい加減イヤになっているでしょう?
この仕事をしてきた20年間の経験から言えば、残念ながら日本人の貴女と違って、ムッシュSやムッシュDのように移民で来た人で、努力してフランス語を覚えようという人は、殆んど
いないわね。
みんなフランスの援助をできる限り、利用しようという人ばかり。
勿論、中には真面目な人もいたけど、そんな人は、本当にほんのごく僅か。
質問もしない、何回やっても覚えないって言うのは、私にとって、珍しい人達でもないのよ。
だから、そんな風にやる気のない人達に授業をしても、意味ないのよ」
だから、ちゃんとした授業をしないのね...と、ようやく謎が解けました。
でも、それでも、教えるのが貴女の仕事なんだから、やらなきゃいけないんじゃないかしら。
そんなマダムNの言葉で、昔の事を思い出しました。
フランスに来たばかりの頃、フランス人から「どこから来たの?」と聞かれ「日本」と答えると
「フランスは、どんな国の人達にも平等なの。日本で働くより収入が増えて、そのうち、きっと日本のご家族も呼べるようになるわよ。そういうアジア人も沢山いるわ。だから貴女も頑張りなさいね」と言われ、あまりにも日本を知らないフランス人に呆れ、完全に難民移民扱いを
された事に苦笑したものです。
マダムNの「日本人の貴女と違って…」という何気ない差別的意味を含んだ言い方はどうかと思いますが、昔と違って、この国で日本を知る人が増え、憧れる人達が増えたって事なんで
しょうね。
そんなマダムNと、私の受講終了前に、よくおしゃべりしたのは、長引くストの話から労働法改正案問題や、フランスのテロ、移民問題、そして、勿論イギリスのEU離脱BREXIT。
マダムNと私の予想は、見事にはずれ、まさかのイギリスの離脱でした。
でも「サッサと逃げ出したイギリスに、腹が立つ!」と言いながら「離脱を選ぶ気持ちも、よく
分かる」と言い始めたマダムN。
「ユーロ圏の概念は、素晴らしいとは思うけど、それはあくまでも理想よね。そんな理想を支持できるのは、お金に余裕があるか、お金がなくても、生活して行く厳しさが何なのか分かっていない若者達なんだと思う。
移民が大きな問題になっているのは、フランスでも同じ。
何かあれば、移民のせいにするフランス極右のマリー・ルペンの考えには、ついていけない
けれど、難民には月500€の援助や無料の住宅支給、移民にはあらゆる生活援助がある
のに、何で真面目に何十年も働いている人の年金が月に600€しかないの?
お給料は上がらないのに、彼らを援助する為に、税金が上がり、援助を受ける事のできない中流所得者だけが苦しい思いをするなんて、変でしょ!
だから、そういう意味で言えば、これ以上移民が増えるのは反対だわ」と、最近のフランスの状況に怒りをぶつけていました。
確かにマダムNの言うように、今のフランス経済の中で、国民を所得別に階級分けをした時、どこが一番大変な思いをしているかと言えば、生活の苦労などない高額所得者の政治家達によって税金をつりあげられ、低額所得者のようにあらゆる国の援助を受けられる程貧しくもないという事で援助を受けられず、ますます余裕のない生活をしなきゃいけない中流生活者達ですものね。
移民増加に反対するマダムNですが、実は、お名前からして、フランス人ではなく、その肌の色や髪質からいって、白人系のフランス人ではありません。
授業以外に色んな話をするようになってから、朝教室に行くと「こんな仕事の募集があったわよ。やってみない?」と、色んな会社のパンフレットを渡してくれたり、№2の夏のバイト探しも協力してくれました。
そして、他の人は1回で止めても、お金の為に続けた薬の臨床試験のアルバイトや、死体を洗う仕事をした学生時代の苦労話や、生まれも育ちもフランスで綺麗なフランス語を話すのに名前も見た目も白人系のフランス人でないという事で、なかなか仕事が見つからなかったり、就職できてもフランス人と同じ扱いじゃなかったとか、かなり苦労してきたという話も聞かせてくれました。
そんな苦労をしてきたからこそ、少しでも移民達が苦労せずに生活できるように、フランス語を教えたいと思うようになったんだとか…。
「貴女がいなくなるのは、さびしいわ。彼らと違って真面目に4カ月間やっていた貴女に、いいチャンスが訪れますように!」の言葉をいただき、ビズ―とハグをして、お別れしました。
受講開始前に「月曜日~金曜日、朝9時~17時の毎日の授業」と言われた時は、すっかり錆ついてしまっている脳と体がついていけるかどうか、心配でした。
でも、始まってみれば、記憶の底で冬眠状態だったものが、ちょっとした刺激で少しづつ
蘇っていく楽しさもあり、あっという間だった4カ月間。
受講終了の2日後の水曜日には、その受講の修了テストが行われ、これで全て終了。
この年になって、夕食後にすぐ机に向かうなんていう生活をするとは思いませんでしたが、
久しぶりの学生生活、楽しかったわぁ。
なかなか暑くならなかったパリでしたが、ようやく夏らしい青空が広がるように...。
さて、暑さに負けず、これから学んだ事をちゃんとキープできるように、頑張らなきゃ!
昨年の11月になった顔面麻痺の後遺症が出てきて、あの時閉じられなかった左目と右目の視力の差がひどくなり、そのせいで左目はすぐ疲れてしまい、涙が止まらない。
今思えば、この4カ月間のフランス語受講は、かなり無理していたのかも….。
4人で始まった受講クラスですが、みんなより一足先に、先週の月曜日で無事終了しました。
繰り返される初級問題に、このままでは、全ての文法をやり終えることはできないのでは…と危惧していましたが、5月中旬から、中級、上級の文法問題は、全て宿題となり、マダムNに提出して添削してもらうやり方に変わったお蔭で、順調に進み、終了の1週間前には、無事
やり終える事ができて、ホッとしました。
そして、週1回は、復習を兼ねた文法問題以外に読解問題と作文のテストが行われ、通常の日の午前中は、初級問題のテキストでの自習を繰り返し、午後はみんなで答え合わせをするというのが、終了まで続きました。
そんな繰り返される初級問題も、5月初めで7回目位でしたから、6月になった時点で、軽く
12.3回は超えていたんじゃないかしら?
それなのに、何十回も出てきているフランス語の文法では、基本中の基本のたった2つの
動詞の現在活用さえ、満足に覚えていないって言うのは、一体、どういう事なんでしょう?
これは、「分からなかったら、質問して下さい」だけで、授業を一切せず、渡された文法問題のテキストを、自習で習得しなきゃいけないマダムNのやり方のせいでしょうか?
ある日、お昼の休憩時間に、中国人のマダムJから、宿題として渡されている中級、上級の文法問題が「読んでも、何が何だか全く分からないから説明してほしい」と言われ、そこからマダムNの授業のやり方についての話になりました。
分からないなら、なぜフランス語教師のマダムNに聞かないのか不思議でした。
彼女曰く、縫い子さんとして9月から再び仕事ができるようになるらしく、彼女が長年やって
きたその仕事には「ここでやっているような中級、上級文法は必要ないし、書けなくても読めなくても、コミュニケーションは取れるから、別に文法の活用が完璧じゃなくても問題ないわ。だから、マダムに質問するほど、知りたい訳じゃないの」でした。
そして、その会話に加わった2人のムッシュも「挨拶程度のフランス語でも、十分生活できるんだから、難しい文法の勉強なんて、別に必要ないよ」「家に帰って迄、フランス語なんかやりたくないよ」とおっしゃる。
だから、覚えないのね...と、ようやくその謎が解けました。
でも、彼らのやる気のなさに、さぞガッカリしているかと思ったら、そのマダムNから、ある日
授業後に質問する為に残った私に、こんな言葉が…
「今日も、初級問題で、いい加減イヤになっているでしょう?
この仕事をしてきた20年間の経験から言えば、残念ながら日本人の貴女と違って、ムッシュSやムッシュDのように移民で来た人で、努力してフランス語を覚えようという人は、殆んど
いないわね。
みんなフランスの援助をできる限り、利用しようという人ばかり。
勿論、中には真面目な人もいたけど、そんな人は、本当にほんのごく僅か。
質問もしない、何回やっても覚えないって言うのは、私にとって、珍しい人達でもないのよ。
だから、そんな風にやる気のない人達に授業をしても、意味ないのよ」
だから、ちゃんとした授業をしないのね...と、ようやく謎が解けました。
でも、それでも、教えるのが貴女の仕事なんだから、やらなきゃいけないんじゃないかしら。
そんなマダムNの言葉で、昔の事を思い出しました。
フランスに来たばかりの頃、フランス人から「どこから来たの?」と聞かれ「日本」と答えると
「フランスは、どんな国の人達にも平等なの。日本で働くより収入が増えて、そのうち、きっと日本のご家族も呼べるようになるわよ。そういうアジア人も沢山いるわ。だから貴女も頑張りなさいね」と言われ、あまりにも日本を知らないフランス人に呆れ、完全に難民移民扱いを
された事に苦笑したものです。
マダムNの「日本人の貴女と違って…」という何気ない差別的意味を含んだ言い方はどうかと思いますが、昔と違って、この国で日本を知る人が増え、憧れる人達が増えたって事なんで
しょうね。
そんなマダムNと、私の受講終了前に、よくおしゃべりしたのは、長引くストの話から労働法改正案問題や、フランスのテロ、移民問題、そして、勿論イギリスのEU離脱BREXIT。
マダムNと私の予想は、見事にはずれ、まさかのイギリスの離脱でした。
でも「サッサと逃げ出したイギリスに、腹が立つ!」と言いながら「離脱を選ぶ気持ちも、よく
分かる」と言い始めたマダムN。
「ユーロ圏の概念は、素晴らしいとは思うけど、それはあくまでも理想よね。そんな理想を支持できるのは、お金に余裕があるか、お金がなくても、生活して行く厳しさが何なのか分かっていない若者達なんだと思う。
移民が大きな問題になっているのは、フランスでも同じ。
何かあれば、移民のせいにするフランス極右のマリー・ルペンの考えには、ついていけない
けれど、難民には月500€の援助や無料の住宅支給、移民にはあらゆる生活援助がある
のに、何で真面目に何十年も働いている人の年金が月に600€しかないの?
お給料は上がらないのに、彼らを援助する為に、税金が上がり、援助を受ける事のできない中流所得者だけが苦しい思いをするなんて、変でしょ!
だから、そういう意味で言えば、これ以上移民が増えるのは反対だわ」と、最近のフランスの状況に怒りをぶつけていました。
確かにマダムNの言うように、今のフランス経済の中で、国民を所得別に階級分けをした時、どこが一番大変な思いをしているかと言えば、生活の苦労などない高額所得者の政治家達によって税金をつりあげられ、低額所得者のようにあらゆる国の援助を受けられる程貧しくもないという事で援助を受けられず、ますます余裕のない生活をしなきゃいけない中流生活者達ですものね。
移民増加に反対するマダムNですが、実は、お名前からして、フランス人ではなく、その肌の色や髪質からいって、白人系のフランス人ではありません。
授業以外に色んな話をするようになってから、朝教室に行くと「こんな仕事の募集があったわよ。やってみない?」と、色んな会社のパンフレットを渡してくれたり、№2の夏のバイト探しも協力してくれました。
そして、他の人は1回で止めても、お金の為に続けた薬の臨床試験のアルバイトや、死体を洗う仕事をした学生時代の苦労話や、生まれも育ちもフランスで綺麗なフランス語を話すのに名前も見た目も白人系のフランス人でないという事で、なかなか仕事が見つからなかったり、就職できてもフランス人と同じ扱いじゃなかったとか、かなり苦労してきたという話も聞かせてくれました。
そんな苦労をしてきたからこそ、少しでも移民達が苦労せずに生活できるように、フランス語を教えたいと思うようになったんだとか…。
「貴女がいなくなるのは、さびしいわ。彼らと違って真面目に4カ月間やっていた貴女に、いいチャンスが訪れますように!」の言葉をいただき、ビズ―とハグをして、お別れしました。
受講開始前に「月曜日~金曜日、朝9時~17時の毎日の授業」と言われた時は、すっかり錆ついてしまっている脳と体がついていけるかどうか、心配でした。
でも、始まってみれば、記憶の底で冬眠状態だったものが、ちょっとした刺激で少しづつ
蘇っていく楽しさもあり、あっという間だった4カ月間。
受講終了の2日後の水曜日には、その受講の修了テストが行われ、これで全て終了。
この年になって、夕食後にすぐ机に向かうなんていう生活をするとは思いませんでしたが、
久しぶりの学生生活、楽しかったわぁ。
なかなか暑くならなかったパリでしたが、ようやく夏らしい青空が広がるように...。
by kanafr
| 2016-07-08 12:58
| 色んな事への独り言
|
Trackback