2016年 07月 22日
まるで、色々な音がはじけるような...
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あのニースの事件がなければ、すぐにアップする筈だったこんな日の事を...。
軽やかな前奏から始まり、リズミカルに、ドラマチックに、色々な音を重ねて、深い余韻を残しつつ終わりを迎えるような、深い音楽を感じる…
そう思ったのは、ランスから戻ってから、Kさんとご一緒させていただいたレストラン・ケイの
コース料理をいただいた時の事でした。
初めての時も、昨年のテロの直後にいらしたKさんからお誘いいただきました。
あの時「何度もいただいているので、美味しいのは分かっているのよ。でも、貴女ならどんな感想をおっしゃるか、伺いたいと思って..」とKさんから聞かれましたが、フレンチでありながら和食材を駆使し、さらに美しい盛り付けなどのきめ細やかなテクニックのお料理に感動して、次々と出されるお料理の素晴らしさを、どのように表現していいかわかりませんでした。
でも、今回は、ケイさんのお料理のスタイルが分かっていたせいでしょうか?
ゆっくり味わいながら、ふと、そんな言葉が頭に浮かびました。
アヴァンアミューズは、赤紫蘇のシャーベット。
ほど良い酸味と紫蘇の香りが、口の中でフンワリ広がりました。
第1のアミューズは、桂むきした大根の中にコリアンダーがアクセントになった野菜の巻物。
第2のアミューズは、ヨーグルトムースのプチタルトと、温かいラビオリ。
そしてアントレは、爽やかな水色の皿の上でクリームのシャポーを被ったキャビアでした。
さらに続く、ケイスタイルのサラダ…
初めてこれをいただいた時の感動を、今でも忘れられません。
淡雪の下で、目覚めを待つ野菜達とでも呼びたくなるような、シャキシャキした野菜の食感とソースを混ぜ合わされた時、口の中でまったく違うリズムが生まれるという感じでした。
メイン料理のスタートは、オマールエビのソースのリゾット。
そして、日本人シェフならでは! のパリっとした皮の焼き加減が美味しい白身魚のソテー。
添えられたザクロなどの果物のソースが、何てお魚にあうのでしょうか!
次に登場したのは、ほぼ生に近い味わいのあるオマール海老…。
火を軽く通してあるそうですが、新鮮な海老の甘さと添えられているソースが何とも言えない美味しさでした。…。
そして、ミントのソルべで口をサッパリさせた後の肉料理として出されたのは、ケイスタイルのコルドンブルー。
チーズを挟みこんだ肉を揚げた庶民的なフレンチを、ケイさんならではの解釈で作ったお料理なんだそうです。
そして、お料理も終盤になり、美味しい蜂蜜だったかしら、そのソースのかかったフロマージュブランならぬフィッセルチーズをいただきました。
シェーブルチーズって、どちらかと苦手なんですが、これは何故かいただけました。
さて、いよいよデセールの出番です。
ケイさんのデセールには、前回も驚かされましたが、それは今回も…。
フワッとした透明な飴細工の下には、果物と果物のムース…
全部混ぜ合わせていただくようになっていました。
そして、カットされたアプリコットの食感も楽しみながらいただけるパイ。
果物のゼリーとレモン風味のマドレーヌ。
チョコレートとお茶をいただき、全ての演奏が終わりました。
自然に笑みがこぼれるような幸せな気持ちになりました。
今回も前回の時と同じように「レストランの雰囲気だけでも、お写真に撮らせていただいても
よろしいでしょうか?」と言った私に「店内だけなんておっしゃらず、お料理の写真もどうぞ」とおっしゃっていただきましたので、撮らせていただきました。
やはり、ご自身のお料理に、自信があるからなんでしょうね。
出来上がったお料理の一つ一つに、素材を生かした味覚や視覚の驚きがあり、それでいて
それぞれの個性が勝ちすぎることなく、美しいハーモニーとしての印象を残すように、全体のバランスが取れている...そう感じました。
それに比べると、確かに、ランスのお料理には、一つ一つの驚きはありました。
でも、全体としてまとまった時、最後のデセールのチョコレートが、あまりにも主張しすぎて、
その前の料理を含め、全体の印象を台無しにしている気がする...
それが、ランスのレストランに対するKさんと私の印象でした。
それぞれの素材を生かした美味しい料理を作ることは、料理人の方ならできて当たり前のことなのかもしれません。
でも、初めから終わりまでの全体の味のバランスを考えて「ああ、美味しかった!」の笑顔で終わる料理を構成できるのは、料理人だったら誰でもできるという訳ではなく、色んな楽器を一つの音楽にまとめ上げる、まるでオーケストラのマエストロのような力量を持った方じゃないとできないのでしょう。
今回は、お料理をいただいている私達の隣にいらした、とても素敵なご夫婦との出会いもありました。
...で、続きます。
軽やかな前奏から始まり、リズミカルに、ドラマチックに、色々な音を重ねて、深い余韻を残しつつ終わりを迎えるような、深い音楽を感じる…
そう思ったのは、ランスから戻ってから、Kさんとご一緒させていただいたレストラン・ケイの
コース料理をいただいた時の事でした。
初めての時も、昨年のテロの直後にいらしたKさんからお誘いいただきました。
でも、今回は、ケイさんのお料理のスタイルが分かっていたせいでしょうか?
ゆっくり味わいながら、ふと、そんな言葉が頭に浮かびました。
アヴァンアミューズは、赤紫蘇のシャーベット。
第1のアミューズは、桂むきした大根の中にコリアンダーがアクセントになった野菜の巻物。
淡雪の下で、目覚めを待つ野菜達とでも呼びたくなるような、シャキシャキした野菜の食感とソースを混ぜ合わされた時、口の中でまったく違うリズムが生まれるという感じでした。
メイン料理のスタートは、オマールエビのソースのリゾット。
次に登場したのは、ほぼ生に近い味わいのあるオマール海老…。
そして、ミントのソルべで口をサッパリさせた後の肉料理として出されたのは、ケイスタイルのコルドンブルー。
そして、お料理も終盤になり、美味しい蜂蜜だったかしら、そのソースのかかったフロマージュブランならぬフィッセルチーズをいただきました。
さて、いよいよデセールの出番です。
ケイさんのデセールには、前回も驚かされましたが、それは今回も…。
フワッとした透明な飴細工の下には、果物と果物のムース…
そして、カットされたアプリコットの食感も楽しみながらいただけるパイ。
自然に笑みがこぼれるような幸せな気持ちになりました。
今回も前回の時と同じように「レストランの雰囲気だけでも、お写真に撮らせていただいても
よろしいでしょうか?」と言った私に「店内だけなんておっしゃらず、お料理の写真もどうぞ」とおっしゃっていただきましたので、撮らせていただきました。
やはり、ご自身のお料理に、自信があるからなんでしょうね。
出来上がったお料理の一つ一つに、素材を生かした味覚や視覚の驚きがあり、それでいて
それぞれの個性が勝ちすぎることなく、美しいハーモニーとしての印象を残すように、全体のバランスが取れている...そう感じました。
それに比べると、確かに、ランスのお料理には、一つ一つの驚きはありました。
でも、全体としてまとまった時、最後のデセールのチョコレートが、あまりにも主張しすぎて、
その前の料理を含め、全体の印象を台無しにしている気がする...
それが、ランスのレストランに対するKさんと私の印象でした。
それぞれの素材を生かした美味しい料理を作ることは、料理人の方ならできて当たり前のことなのかもしれません。
でも、初めから終わりまでの全体の味のバランスを考えて「ああ、美味しかった!」の笑顔で終わる料理を構成できるのは、料理人だったら誰でもできるという訳ではなく、色んな楽器を一つの音楽にまとめ上げる、まるでオーケストラのマエストロのような力量を持った方じゃないとできないのでしょう。
今回は、お料理をいただいている私達の隣にいらした、とても素敵なご夫婦との出会いもありました。
...で、続きます。
by kanafr
| 2016-07-22 10:22
| 美味しいもの
|
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Comments(4)
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by
すっとこ
at 2016-07-23 22:40
x
きゃぁぁぁあああああっっっっーーーー!
なんて眼福眼福なお皿達でしょう!
日本人シェフさんなのですか?
パリッと焼いた魚の皮、ううう好物です。
出てくる皿 出てくる皿が 「うわぁ」と
声を出さずに叫びたいようです。
でも 最後のチョコが強すぎて全体のハーモニー
を勿体ないことにしてしまってた?
パティシエさんがリキ入り過ぎたのでしょうか。
「続きます」だそうで 楽しみです!
盛り付け方など 同じようには絶対出来ないけど
見てるだけで楽しくお勉強になるなぁ。
なんて眼福眼福なお皿達でしょう!
日本人シェフさんなのですか?
パリッと焼いた魚の皮、ううう好物です。
出てくる皿 出てくる皿が 「うわぁ」と
声を出さずに叫びたいようです。
でも 最後のチョコが強すぎて全体のハーモニー
を勿体ないことにしてしまってた?
パティシエさんがリキ入り過ぎたのでしょうか。
「続きます」だそうで 楽しみです!
盛り付け方など 同じようには絶対出来ないけど
見てるだけで楽しくお勉強になるなぁ。
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kanafr at 2016-07-24 02:34
すっとこさん 今日は
ハイ、ご推察通り、レストラン・ケイのオーナーシェフは、日本人の小林圭さんです。
お皿も凝ってますでしょう。ケイさんの奥様とお話しする事ができたんですが、お店の休日には、食材探しは勿論のこと、お皿のいろいろ探されているそうです。
エ~、ところで、すっとこさん「最後のチョコのデザートが強すぎて...」だったのは、ケイさんではなく、ランスのレストランです。
7月14日のパレードと、ニースのテロという記事を間に入れてしまったのがいけなかったですね。
ケイさんのレストランでのチョコは、やはり他のデザート同様、美味しかったですよお。
続きをサッサとアップせねば...ですね。
ハイ、ご推察通り、レストラン・ケイのオーナーシェフは、日本人の小林圭さんです。
お皿も凝ってますでしょう。ケイさんの奥様とお話しする事ができたんですが、お店の休日には、食材探しは勿論のこと、お皿のいろいろ探されているそうです。
エ~、ところで、すっとこさん「最後のチョコのデザートが強すぎて...」だったのは、ケイさんではなく、ランスのレストランです。
7月14日のパレードと、ニースのテロという記事を間に入れてしまったのがいけなかったですね。
ケイさんのレストランでのチョコは、やはり他のデザート同様、美味しかったですよお。
続きをサッサとアップせねば...ですね。
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madameH at 2016-07-26 16:04
あーーーー!
KEIさんの、お料理を食べるためだけに、パリに行きたい。
勿論、Kanaさんにお会いするためにもですよ(笑)
圭さんも、奥さまも、真面目で穏やかな方ですよね。
日本の有名レストランにありがちな、写真はNO!みたいな了見が狭いところとは
違います。それが一流の証みたいな勘違いしてると思います。
勿論、マナーをきちんと守ってのことですが。
私達は、最後の客だったので、厨房にもどうぞと仰って下さいましたが
それは、あんまりなのですご辞退しましたけれど。
生馬の目抜くパリで、一生懸命頑張ってる、お若いお二人を応援したいです。
とは、言っても遠すぎる…
KEIさんの、お料理を食べるためだけに、パリに行きたい。
勿論、Kanaさんにお会いするためにもですよ(笑)
圭さんも、奥さまも、真面目で穏やかな方ですよね。
日本の有名レストランにありがちな、写真はNO!みたいな了見が狭いところとは
違います。それが一流の証みたいな勘違いしてると思います。
勿論、マナーをきちんと守ってのことですが。
私達は、最後の客だったので、厨房にもどうぞと仰って下さいましたが
それは、あんまりなのですご辞退しましたけれど。
生馬の目抜くパリで、一生懸命頑張ってる、お若いお二人を応援したいです。
とは、言っても遠すぎる…
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kanafr at 2016-07-27 07:11
madame Hさん 今晩は
圭さんのお料理、美味しいですよねぇ。
Kさんが個人的にも親しくしていらっしゃるので、昼食時間を過ぎてしまったんですが、少しお話させていただきました。休日も材料探しなどで、色々動いていらっしゃるんだそうです。
圭さんも奥様も、おっしゃる通り、真面目で穏やかな方ですよね。お二人のお子さんに、お目にかかる事ができましたが、凄く可愛いんですよ。
Kさんも、パリで一生懸命頑張っている圭さんご夫婦を応援したいといつもおっしゃっています。
夜遅くまでお仕事で、大変だと思いますが、これからも頑張ってほしいですよね。
マダムに、是非、またパリに!と、今は言えないのが、悲しいフランスです。
圭さんのお料理、美味しいですよねぇ。
Kさんが個人的にも親しくしていらっしゃるので、昼食時間を過ぎてしまったんですが、少しお話させていただきました。休日も材料探しなどで、色々動いていらっしゃるんだそうです。
圭さんも奥様も、おっしゃる通り、真面目で穏やかな方ですよね。お二人のお子さんに、お目にかかる事ができましたが、凄く可愛いんですよ。
Kさんも、パリで一生懸命頑張っている圭さんご夫婦を応援したいといつもおっしゃっています。
夜遅くまでお仕事で、大変だと思いますが、これからも頑張ってほしいですよね。
マダムに、是非、またパリに!と、今は言えないのが、悲しいフランスです。