2017年 12月 28日
しまった事さえ、すっかり忘れていた箱の中には...
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1日は、あっという間に過ぎていく年の瀬です。
時間がある時に、断捨離を実行すべく、チョコチョコと片付けてはいますが、ここのところ、出掛けてばかりで、なかなかはかどりません。
今日は、時間ができたので、ずっと気になりつつも、ほぼ開かずの状態になっていた棚を整理しました。
すると、自分では、買った事さえ忘れていた物も色々出てきて、自分のだらしなさにほとほと呆れました。
そして、棚のずっと奥に入っていた箱...
それは、薄紫色のラベンダーが描かれている箱でした。
“こんな箱、うちにあったっけ!?”
そんな事を呟きながら、中を開け、やっと思い出しました。
初期のアルツハイマーになった母をフランスに呼び寄せ、一緒に住んだ時に「ここに眼鏡とか大事な物をいれてね」と渡した箱でした。
母の大好きなイギリス風の色と模様でした。
でも、目の前の物を箱に入れたら、自分で入れた事をすっかり忘れて「眼鏡がない。きっと誰かが盗ったのよ」と言う母に、その都度、この箱の説明をする日々でした。
あの頃、私自身の体調もかなり悪く、まだ手のかかる幼稚園児の№2の世話と、母の世話の1年は、正直言って、本当にきつい毎日でした。
結局、母は、日本の専門病院に入院する事になってしまいましたが、その事を母には告げずスーツケース1つだけの帰国になり、この箱もフランスに置いたままの帰国になってしまいました。
そんな事を思い出しながら箱を開けると、幾つかの眼鏡、中身のない財布、母が夏になると必ずバッグに入れていた美しい刺繍の仙頭のハンカチ....
「ああ、あの時の...」と思い出すようなものが、色々入っていました。
でも、一つだけ薄紙に包まれた物がありました。
その中には、母が買ったとは思えないような少しエキゾチックなビーズ刺繍がされた首掛けかけるような紐がついた小さな袋が出てきました。
袋を触ると、何か入っている感触がありました。
引き出してみると、多分、この本を買わなきゃいけないと思ったのでしょう。
母の書体で書かれた「記憶力のすすめ」の小さなメモと「ぼけ防止蔵尊」と書かれたお札とそのお地蔵様が入っていました。
あの当時、TVでアルツハイマーの患者の様子が報道されるようになり、母は自分がそうなる事をとても恐れていました。
プライドが高く、他人に対し口で攻撃する事はしませんでしたが、好き嫌いの激しい人だったので、友達も少ない人でした。
アルツハイマーになる原因は、沢山あると思いますが、私は母の性格上、絶対なると思っていました。
それなのに、私が結婚しフランスに住んだ為、母に一人暮らしをさせ、数年後、初期のアルツハイマーになりました。
きっと、母の場合は、母の性格もあったかもしれませんが、それより私が母を孤独にさせた事が、原因の一つになったんじゃないかと思います。
今、この手書きのメモの中に、一人で生活をする事になってしまった母が「絶対に
なりたくない、ならない」と必死に自分を励ましていた母の孤独な決心と思いが一杯詰まっているような気がして、泣いてしまいました。
これからは、この箱の存在を忘れず、時々開けては、傲慢だった自分を反省し、もう直接に話す事はできませんが、色々な面で母の事をもっと理解してあげたいと思った年の瀬でした。
時間がある時に、断捨離を実行すべく、チョコチョコと片付けてはいますが、ここのところ、出掛けてばかりで、なかなかはかどりません。
今日は、時間ができたので、ずっと気になりつつも、ほぼ開かずの状態になっていた棚を整理しました。
すると、自分では、買った事さえ忘れていた物も色々出てきて、自分のだらしなさにほとほと呆れました。
そして、棚のずっと奥に入っていた箱...
それは、薄紫色のラベンダーが描かれている箱でした。
そんな事を呟きながら、中を開け、やっと思い出しました。
初期のアルツハイマーになった母をフランスに呼び寄せ、一緒に住んだ時に「ここに眼鏡とか大事な物をいれてね」と渡した箱でした。
母の大好きなイギリス風の色と模様でした。
でも、目の前の物を箱に入れたら、自分で入れた事をすっかり忘れて「眼鏡がない。きっと誰かが盗ったのよ」と言う母に、その都度、この箱の説明をする日々でした。
あの頃、私自身の体調もかなり悪く、まだ手のかかる幼稚園児の№2の世話と、母の世話の1年は、正直言って、本当にきつい毎日でした。
結局、母は、日本の専門病院に入院する事になってしまいましたが、その事を母には告げずスーツケース1つだけの帰国になり、この箱もフランスに置いたままの帰国になってしまいました。
そんな事を思い出しながら箱を開けると、幾つかの眼鏡、中身のない財布、母が夏になると必ずバッグに入れていた美しい刺繍の仙頭のハンカチ....
「ああ、あの時の...」と思い出すようなものが、色々入っていました。
でも、一つだけ薄紙に包まれた物がありました。
その中には、母が買ったとは思えないような少しエキゾチックなビーズ刺繍がされた首掛けかけるような紐がついた小さな袋が出てきました。
袋を触ると、何か入っている感触がありました。
引き出してみると、多分、この本を買わなきゃいけないと思ったのでしょう。
母の書体で書かれた「記憶力のすすめ」の小さなメモと「ぼけ防止蔵尊」と書かれたお札とそのお地蔵様が入っていました。
プライドが高く、他人に対し口で攻撃する事はしませんでしたが、好き嫌いの激しい人だったので、友達も少ない人でした。
アルツハイマーになる原因は、沢山あると思いますが、私は母の性格上、絶対なると思っていました。
それなのに、私が結婚しフランスに住んだ為、母に一人暮らしをさせ、数年後、初期のアルツハイマーになりました。
きっと、母の場合は、母の性格もあったかもしれませんが、それより私が母を孤独にさせた事が、原因の一つになったんじゃないかと思います。
今、この手書きのメモの中に、一人で生活をする事になってしまった母が「絶対に
なりたくない、ならない」と必死に自分を励ましていた母の孤独な決心と思いが一杯詰まっているような気がして、泣いてしまいました。
これからは、この箱の存在を忘れず、時々開けては、傲慢だった自分を反省し、もう直接に話す事はできませんが、色々な面で母の事をもっと理解してあげたいと思った年の瀬でした。
by kanafr
| 2017-12-28 12:57
| 母、オット、№2、私
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Comments(6)
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by
ラパン
at 2017-12-28 21:16
x
残されたものって、その亡くなった方を一番物語りますよね。
その物にもお母様の気持ちや感情が籠っているのですよね。
私も同じ気持ちになりましたよ。
その物にもお母様の気持ちや感情が籠っているのですよね。
私も同じ気持ちになりましたよ。
0
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at 2017-12-28 23:44
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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kanafr at 2017-12-29 08:26
ラパンさん 今晩は
箱の中に眼鏡などが入っているのは知っていましたが、この小さな袋の事は、多分一度見たかもしれませんが、中身まで確認したのは、今回初めてでした。
単なる物でも、そこにその人が持っていたというだけで、単なる物ではなくなりますね。
箱の中に眼鏡などが入っているのは知っていましたが、この小さな袋の事は、多分一度見たかもしれませんが、中身まで確認したのは、今回初めてでした。
単なる物でも、そこにその人が持っていたというだけで、単なる物ではなくなりますね。
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kanafr at 2017-12-29 08:42
12-28 23;44の鍵コメさん 今晩は
私以上に、鍵コメさんのご苦労、ご心労は大変なものだったと思いますのに、こんな風に当時の事やお気持ちをお話くださった事に、そして温かいお言葉を私にくださった事に、感動しております。
本当に有難うございます。
私以上に、鍵コメさんのご苦労、ご心労は大変なものだったと思いますのに、こんな風に当時の事やお気持ちをお話くださった事に、そして温かいお言葉を私にくださった事に、感動しております。
本当に有難うございます。
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すっとこ
at 2018-01-01 06:23
x
ううううううううううううううううううう。
私も子供は一人で 娘なので
読んでいるうちにお母さまの気持ちになって
胸が詰まってしまいました。
自分が一番なりたくないと思ってたアルツ
ハイマーにかかられたお母さま。
でもね、それはKanafrさんのせいでは
ありませぬ。
お母さまは 孤独ゆえにその病気に罹患
されたのではないと思います。もっと前
からスタートするのが病の性質と聞きます。
お母さまが一番心配されるのは「自分の
せいかも」と娘が自身を責める事でしょう。
今 ラベンダーのボックスが見つかったのは
「いつも 側に居るのよ。見守ってるわ」
のメッセージで
「残したものがそのお守りだったから
勘違いされてしまうわね」と穏やかに
微笑してらっしゃる気がするのです。
母親の立場からの感想です。
私も子供は一人で 娘なので
読んでいるうちにお母さまの気持ちになって
胸が詰まってしまいました。
自分が一番なりたくないと思ってたアルツ
ハイマーにかかられたお母さま。
でもね、それはKanafrさんのせいでは
ありませぬ。
お母さまは 孤独ゆえにその病気に罹患
されたのではないと思います。もっと前
からスタートするのが病の性質と聞きます。
お母さまが一番心配されるのは「自分の
せいかも」と娘が自身を責める事でしょう。
今 ラベンダーのボックスが見つかったのは
「いつも 側に居るのよ。見守ってるわ」
のメッセージで
「残したものがそのお守りだったから
勘違いされてしまうわね」と穏やかに
微笑してらっしゃる気がするのです。
母親の立場からの感想です。
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kanafr at 2018-01-02 10:30
すっとこさん 今晩は
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
すっとこさんの母親の立場からの温かいお言葉、心にしみました。有難うございます。
きっと母はそう言ったかもしれないなあと思いながら読ませていただきました。
母からの手紙は取ってあるんですが、この時このメモは初めて見た物でした。しかも単なるメモなのに、こんなに気持ちが動かされるとは思いもよりませんでした。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
すっとこさんの母親の立場からの温かいお言葉、心にしみました。有難うございます。
きっと母はそう言ったかもしれないなあと思いながら読ませていただきました。
母からの手紙は取ってあるんですが、この時このメモは初めて見た物でした。しかも単なるメモなのに、こんなに気持ちが動かされるとは思いもよりませんでした。